奈良県の美味しいものといえば「奈良漬」「三輪そうめん」「吉野葛(くず)」「柿の葉寿司」「大和茶」
色々ありますが、私はなんといっても職業柄「柿」です
柿落ちて犬吠ゆる奈良の横町かな
正岡子規の有名な句は、だれもが知っている「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」ですが、これは正岡子規の奈良の柿を題材にしたもうひとつの俳句です。昔の奈良の横町は柿などはなるにまかせていて、落ちるにまかせていた。熟した柿が落ちて犬がびっくりして吠えている。のどかな奈良の風景を描写していますね。しかし今は令和、奈良県は柿の名産地です。柿はプロの農家が作って収穫して設備の整った農協で丁寧に選別してお届けしています。落ちるにまかせるのはもったいない。のんびりした風景とは違うJAならけんの選果場に行ってきました。
奈良県五條市西吉野町の 柿団地
右の写真は見渡す限り一面の柿畑。
奈良県は柿の一大産地で、このような柿団地が他に3カ所ほどあります。
この柿団地で多く栽培されている品種は「刀根早生(とねわせ)」という渋柿の仲間で、9月中旬ごろから出回ります。
10月に入った頃から出回る「平核無(ひらたねなし)」の枝変わりとして誕生した品種で、外観はとてもよく似ています。
柿は「剝皮(はくひ)」という柿の枝の樹皮をぐるっと一周むく作業をすることで、果実の成熟促進や品質向上につながると言われています。
よく野生動物による農作物の被害がニュースになりますが、JAならけんでもよくあるそうです。
渋柿ではなく、甘柿の被害が多いようです。
イノシシたちも美味しいものがわかるんですね。
おすすめの食べ方は、そのまま味わっていただくことですが、柔らかくなった柿を凍らせてシャーベットにして食べても美味しいそうです。
今回の写真は8月末頃に撮影した様子ですが、
もう少したった9月中旬ごろから、柿の果実がやわらかいオレンジ色に色づき出します。
養分の通り道として、根から吸い上げた養分は枝の中心を通って果実にいき、果実から戻るときは樹皮側を通ります。
「剝皮(はくひ)」により養分の通り道を遮断し、果実の肥大を促進します。
「剝皮(はくひ)」した枝は、次の年には切り落としてしまうそうです。
JAならけん西吉野白銀営農経済センターの井上さん(左) 全農食品仕入担当の三好(右)
最後は人の手でひとつひとつ丁寧に...
安心安全で美味しい柿は、様々な工程を経て、みなさまのお手元に届きます。今回は、JAならけんの柿の選果作業をご紹介します。
~生産者さんから原料の持込~
上の写真の黄色いかごはコンテナと呼ばれ生産農家で収穫された柿はこのコンテナに入れて選果場に持ち込まれます。
~光センサー選果~
右の写真の黄色いボックスは「光センサー」という機械です。
前の工程で目視で選別して、品質に不具合のないものを、さらに、この機械を通して糖度と形状をセンサーで確認して選別していきます。
たくさんの柿が持ち込まれる選果場で一定の品質の柿を選別していくための重要な役割があります。
規格ごとに選別された柿は、となりの柿とぶつかっても傷まないように、ひとつひとつ白い緩衝材にくるんで丁寧に箱詰めをします。(※商品によっては、緩衝材にくるまないで出荷するものもあります)
~出荷~
このように、機械によって選別された柿も最後は人の手で大切に送り出しています。
~目視検査選別~
持ち込まれた柿は、左の写真の選果ラインに流します。
まずはひとつひとつ確認し、選別ラインに並べます。
果実と葉の間のヘタの部分にムシがいないか、果実が柔らかすぎないかなどを確認し、品質に不具合のあるものはここで取り除きます。
(写真左)
選別された柿は、等級(秀、優など)・階級(L、Mなど)の規格ごとのラインに分かれて規格ごとに流れていきます。
渋柿のおはなし
~脱渋工程(渋抜き)~
渋柿が渋いのは、柿に含まれるタンニンという渋み成分が口の中に溶けだし渋みを感じるからです。
渋柿を渋抜きすると、タンニンが可溶性から非可溶性に変化することによって、食べても渋みを感じなくなります。
甘柿とちがって、渋柿の場合は生産者さんが持ち込んだ後、先ほどの目視検査選別などの選果作業の前に渋抜きという工程があります。
一番上の写真の黄色いコンテナごと渋柿は脱渋(だつじゅう)倉庫に搬入します。
炭酸ガスを充満させ16℃で20時間、脱渋を行います。
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1日なじませます
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選果作業へ
柿の圃場で育ちみなさまに届けられるまで、愛情をたっぷり受けた美味しい旬の柿を是非おためしください!
このページは2018年の全農食品オンラインショップの記事を参考に作成しています
柿にはビタミンCも含まれ、渋み成分のタンニンにはアルコールを分解する作用があると言われています。
つらい二日酔いの日にもよさそうですね。
このページは2019年の全農食品オンラインショップの記事を参考に作成しています